サーマルパッドの交換で一時的に温度は下がるのですがマイニングで1か月間、高負荷をかけ続けるとサーマルパッドの熱伝導効果は落ちてしまいます。なので違う方法を考える必要があります。2台の RTX3080 を分解して改造し GPU Memory Junction Temperature(メモリジャンクション温度)を下げます。
サーマルパッドの代わりに CPU グリスを補強プレートに塗る
サーマルパッド + アルミ板 + CPU グリス
ZOTAC GeForce RTX 3080 の改造
パソコン工房の BTO で内蔵していた ZOTAC の RTX3080
ファンの取り外し、サイドのネジをすべて外す、こちら側は3本
逆側のサイドのネジもすべて外す、こっちは2本
映像出力端子と逆側のバックプレートの2本のネジを外す、これでファンがグラボから分離できる
基盤とヒートシンクを分離、PCIE 端子から平行に伸びる位置の4本のテンションネジを外す
PCIE 端子を奥に向けてバックプレートを手前側にひっくり返すと GPU コアチップが現れる
このグラボはサーマルパッドが貼っていないタイプでヒートシンクでメモリの発する高熱を吸い上げない、メモリは補強プレートとサーマルパッドでつながっていてその補強プレートがヒートシンクの役割をしている
試しに0.5mm厚のサーマルパッドを貼ってみる
グリスを塗って組み上げて再度ヒートシンクを分離してみると GPU コアチップのグリスが広がっていない、サーマルパッドが厚すぎてヒートシンクと GPU コアチップが圧着できていない、0.5mm厚より薄いサーマルパッドは売っていないのでこのグラボではサーマルパッドは使えない
サーマルパッドではなく CPU グリスを塗ることで対応
マイニングを実施して高負荷状態での温度測定
補強プレートにグリスを塗る前のメモリジャンクション温度が108℃
補強プレートにグリスを塗った後のメモリジャンクション温度は78℃
この方法で ZOTAC の RTX3080 のメモリジャンクション温度は劇的に下がったが、室温が30℃を超えてくると今度は GPU 温度が60℃を超えてくる、そうなると GPU ホットスポットが70℃以上になりサーマルスロットリングが効いてハッシュレートが落ちてしまう
このページの ZOTAC RTX3080 の改造の動画シリーズ/マターライフ
Palit GeForce RTX 3080 GamingPro の改造ドスパラのガレリアに搭載してた RTX3080、ネジの所に保証シールが貼ってある、これを剥がすと保証が効かなくなる
サイド側にはネジが全くないのでバックプレートを外す必要がある
バックプレートの取り外し、ヒートシンク固定ネジを含め、バックプレート上にあるすべてのネジを外す
バックプレートを外す、このバックプレートに貼ってあるサーマルパッドは張り替えても意味がないのでそのまま使う
映像出力端子部分の金具を外す(必要がなかったかもしれない)すべてのネジを外す
金具を外す
この2か所の穴の中にファン固定ネジがあるので外す
基盤を外す、サーマルパッドの粘着で少し外しにくいがこの部分にはネジがないので少し強引に引き上げる、配線に注意
映像出力端子側にも2か所の穴があり、その中にファン固定ネジがあるので外す
基盤を元に戻す、ファンの固定ネジを外した状態となってしまうがファンの固定は違う方法で行うこととする
バックプレートを元に戻す
バックプレート固定ネジを付ける、ヒートシンク固定の4本のネジは付けない
PCIE 端子を手前にしてファンとヒートシンクを持ち上げるとメモリが現れる、配線に注意
ZOTAC のグラボと違いメモリとヒートシンクはサーマルパッドを介して接地している
改造、1mm厚のサーマルパッドの上に1mm厚のアルミ板をメモリ上部に配置、サーマルパッドには粘着性がありアルミ板がズレてショートする可能性はない
いちばん問題なのは GPU コアチップがヒートシンクに確実に接地できるかどうかなのである、高さを合わせるためにサーマルパッドを指でつぶして調整する
ヒートシンクとファンを取り付けてヒートシンク固定ネジを締め付ける
ファンはヒートシンク部分と結束バンドで固定する、これでバックプレートや基盤を外さずにヒートシンク固定ネジを4本を外すだけでメモリやGPUコアチップにアクセスできる
マイニングを実施して高負荷状態での温度測定
GPU 温度が35.2℃で GPU ホットスポットが54.5℃、19.3℃も GPU ホットスポットの温度が高いとヒートシンクにコアチップが上手く接地できていないことになる、その代わりメモリの高熱をヒートシンクが吸い上げているのでメモリジャンクション温度が74℃と低くなっている
サーマルパッドを薄くつぶしてクリアランスを追い込んでの温度
メモリジャンクション温度は86℃、この時の室温が15℃なので何とも言えないが通常より10℃以上下がった、GPU ホットスポットが GPU 温度より15℃以上高いのでまだ改良の余地があり(10℃差程度が理想)
このページの Palit RTX3080 の改造の動画シリーズ/マターライフ
まとめ
メモリの発熱をヒートシンクに上手く伝えることが出来ればメモリジャンクション温度は下がります。ただそれは GPU コアチップの冷却効果を落とすことになります。メモリジャンクション温度は108℃まで耐えれるようですが GPU 温度は60℃程度でサーマルスロットリング機能が働き処理落ちしてしまいます。また GPU コアチップ内でいちばん熱い部分である GPU Hot Spot Temperature(GPUホットスポット温度)が GPU 温度より極端に高いとヒートシンクと GPU コアチップがきちんと接地できていないことになります。サーマルパッドの張替え、グラボの改造には注意が必要です。
マイニング時のグラボ冷却は完全に室温に左右されます。室温30℃を超えるとGPU温度が55℃を超えてきます。これにメモリの発熱をヒートシンクに吸わせるとGPU温度が60℃を超えさらに GPU ホットスポットが70℃以上となり処理落ちしてしまいます。
夏はグラボだけの冷却機能ではメモリと GPU コアチップ冷やせないので外部の冷却システムが必要です。まっエアコンかな~
それやってる人は多いと思うのでプログラム解説やります、こっちの方が効率がいいし楽しい。
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